今週(4月18日~24日)予定日とされる牝馬たち
今週は9頭。サートゥルナーリアが皐月賞を制したのが既に3年前かと思うと時が経つのははやいものです。
18日 ソムニアシチー
22日 オメガセニョリーナ
23日 グラミスキャッスル
ソムニアシチーは現役時代2勝。名前の通り「シチー」の冠名でおなじみの優駿ホースクラブさんの馬です。この牝系は遡れば100年以上前に日本に導入されたチツプトツプまで至る古い牝系ですが、4代母リンネスが特に優秀で、活躍馬を多く出しています。今なお尾花栗毛の美形の代名詞でもあるゴールドシチーや中央地方問わずダート王者として君臨したエスポワールシチーのG1馬だけでなく、リーンカーンシチーやクラウンシチーといった重賞馬が出ています。5代以降でのクロスがゴリゴリ発生していてどんな産駒になるか楽しみにしています。
ハッピーユニバンスは5勝をあげたオープン馬でG1にも出走しました。牝系からは日本で重賞馬は出ていませんが、多くが勝ち上がっておりそこそこ優秀な一族です。2代母フランクアーギュメントはG1を2着、その半兄Frankly PerfectはG1を2勝含め重賞5勝と活躍しましたが、競争実績ではなく別の話題でこの牝系の名前を聞いた事がある人もいることでしょう。フランクアーギュメントの2000(本馬の母の全弟)は当時岡田総帥が絶賛し3億円以上で落札され、のちにカームと名づけられましたが中央で未勝利で終わりました。高額馬は走らないと言われしまいますが、一応本馬の競争成績はそれ以上ですので、産駒の活躍を願います。
レジネッタは有名ですね、2008年桜花賞などを制しました。母として重賞馬はまだ送り出していませんが、2勝以上あげた産駒が4頭もおり優秀といえます。それも牝系を辿れば納得できて、4代母がFall Aspenという名牝。自身もG1馬でしたが、その産駒は9頭の重賞馬、内4頭がG1馬という凄まじさ。その中の1頭が日本で種牡馬として活躍したティンバーカントリーでした。これだけに留まらず、この牝系は広がり続け、世界ではあのドバイミレニアムを筆頭に何頭ものG1馬を輩出し、日本でもアジアエクスプレスが朝日杯FSを制しています。是非とも産駒の活躍を特に期待したくなる牝馬、牝系です。
セルキスはG2ドイツオークストライアルを勝った海外馬ですが、既に各所で母として有名でしょう。まず、サートゥルナーリアと3歳時に鎬を削り合ったヴェロックスの母であります。また、昨年のセレクトセールで父キズナのセルキスの2021が4億円を超える価格で落札され話題になりました。本馬はドイツのSラインと呼ばれるSchwarzgoldを牝祖とする名門牝系の出身で、数多もの活躍馬を今なお輩出し続けています。セルキスの5代母からは凱旋門賞などを制したSagace、仏オークスなどG1を6勝したスタセリタ、オークス馬ソウルスターリング、そして先週の桜花賞を勝ったスターズオンアースの一族を輩出していますし、そのほかの系統からは日本に限ってもシュネルマイスター、サリオス、ビワハイジ一族、マンハッタンカフェなどがいる歴史的名牝系です。
オメガセニョリーナは現役時代に4勝。母がイタリアのリステッド勝ち以外で特筆すべき活躍馬がいるか調べ切れていませんが、日本で走った近親は中央と地方で勝つ産駒が多くいます。本馬の4勝も全て1400m戦ながら、芝で2勝ダートで2勝とどちらでも走れる能力がありましたので、産駒もマイル前後で芝ダート問わず広く活躍して欲しいと思います。
グラミスキャッスルは4勝をあげオープン入りも果たした牝馬で、うち3勝が新潟の千直とスピードを武器に活躍しました。本馬も以前紹介した千代田牧場ゆかりのチヨダマサコ牝系の出身の1頭です。血統的には、G1馬ホーエルキャプチャとは同血で、母同士が全姉妹の関係でいずれも父クロフネとなっています。ですので以前紹介したカウントオンイットとも同血になるため、産駒同士も血統的にはほぼ同じとなります。どんな違いが出てくるのか楽しみですね。
アジアンミーティアは現役こそ地方で4勝という成績でしたが、繁殖としての実績そして何より血統的にとても優れています。産駒には新潟大賞典などを制したダコール、ファルコンS3着のルシュクルがいて、そのルシュクルは重賞2勝のブランボヌール、G1フォレ賞3着など重賞で好走を続けるエントシャイデン、重賞3勝のビアンフェを輩出しています。更に血統面では全兄が近年母父としての活躍が著しいUnbridled's Songで、牝系からは他にもG1馬や重賞馬が何頭も出ています。本馬は2000年生と昨年の種付け相手としては最高齢でした。シーザリオの2つ上で、同期がネオユニヴァース、ゼンノロブロイ、スティルインラブと考えると随分高齢だと実感します。今年で22歳、無事であることを祈っています。
クルミナルはエルフィンSを勝ち桜花賞2着、オークス3着と好走しましたが無念の引退となりました。今はキャロットクラブの大人気の母となっており、産駒のククナとアライバルはいずれも重賞で好走しています。産駒も無事誕生すれば人気になると予想されます。血統面でも優秀で、母はアルゼンチンG1を2勝、2代母もアルゼンチンG2を勝っていますし、半兄ピオネロはダート重賞戦線で活躍しました。どの産駒も楽しみですが、やはり父母子揃って同じクラブの産駒はより楽しみにしています。
フラワーハートは現役時代は新馬戦の1勝のみでしたが、牝系が魅力的です。半弟にコリアC連覇などダート重賞で活躍したロンドンタウンというだけでも素晴らしいのですが、遡った5代母Gold Mineは歴史的名種牡馬Mr. Prospectorの全妹にあたります。したがって、サートゥルナーリアとの産駒はこの全兄妹の5×6のクロスが成立するのです。更にこの牝系からは、アメリカG1馬Explosive RedとBCターフなどを制し1998年ジャパンカップ4着でも知られるチーフベアハート兄弟、菊花賞馬オーケンブルースリと複数のG1馬を輩出してきました。
どうか無事でありますように。